成年後見関係事件の概況〜平成13年4月から平成14年3月〜

最高裁判所事務総局家庭局 

 本資料は,改正成年後見制度が導入されてから2年目である平成13年4月から平成14年3月までの1年間における,全国の家庭裁判所の成年後見関係事件(後見開始,保佐開始,補助開始及び任意後見監督人選任事件)の処理状況や終局した成年後見関係事件について,その実態を取りまとめたものである。なお,必要に応じて,制度導入1年目の実情と比較しているが,1年目の実情について,詳しくは「成年後見関係事件の概況〜平成12年4月から平成13年3月〜」を参照されたい。(以下の数値はいずれも概数である。)

1 申立件数について(資料1)

○ 成年後見関係事件(後見開始,保佐開始,補助開始及び任意後見監督人選任事件)の申立件数は合計で11,088件(前年は9,007件)に達しており,対前年比約23%の増加となっている。
○ 後見開始の審判の申立ては9,297件(前年は7,451件)で,対前年比で約25%の増加となっている。
○ 保佐開始の審判の申立ては1,043件(前年は884件)で,対前年比約18%の増加となっている。
○ 補助開始の審判の申立ては645件(前年は621件)で,対前年比約4%の増加となっている。
○ 任意後見監督人選任の審判の申立ては103件(前年は51件)で,対前年比約102%の増加となっている。
・ 申立件数については,制度導入後2年目となり,導入後1年目と比べると対前年比での増加の割合は小さくなったものの,依然として高水準の割合で増加している。
・ 特に,任意後見監督人選任の審判の申立件数は,1年目のそれの2倍を上回って,著しく増加している。これは,任意後見監督人選任の審判の申立ての前提となる任意後見契約の締結件数が増加する傾向にあること,任意後見制度では,契約の締結からある程度の期間が経過した後に任意後見監督人選任の審判の申立てがされることが通常であることによるものと考えられる。なお,平成13年4月から平成14年3月までの任意後見契約締結の登記は合計1,106件(前年は801件)である。

(資料1) 成年後見関係事件申立件数表

(注)平成12年の件数は平成12年4月から平成13年3月まで,平成13年の件数は平成13年4月から平成14年3月までに申立てのあった件数である。

2 終局区分について(資料2)

○ 成年後見関係事件(後見開始,保佐開始,補助開始及び任意後見監督人選任事件)の既済事件合計10,301件のうち,認容で終局したものは約77%(前年は約69%)であり,却下で終局したものはほとんどない。

(資料2) 成年後見関係事件終局区分別件数表

(注)その他には,取下げ,本人死亡等による当然終了,移送などを含む。

3 審理期間について(資料3)

○ 成年後見関係事件(後見開始,保佐開始,補助開始及び任意後見監督人選任事件)の既済事件合計10,301件のうち,3箇月以内に終局したものが全体の約35%(前年は約43%),4箇月以内に終局したものが全体の約51%(前年は約61%)である。
・ 制度導入後1年目に比べて審理に期間を要する事案が増えているのは,制度導入後2年目になり,審理に長期間を要する複雑な事件が終局するようになったことも要因であると思われる。

(資料3)成年後見関係事件審理期間別の割合

(注)後見開始,保佐開始,補助開始及び任意後見監督人選任の終局事件を対象とした。

4 申立人と本人との関係について(資料4)

○ 申立人については,本人の子が最も多く全体の約39%(前年は約40%)を占め,次いで本人の兄弟姉妹が約19%(前年は約17%),配偶者が約16%(前年は約19%),その他の親族が約12%(前年は約11%)となっている。
○ 市町村長が申立てたものは115件(約1.1%)で,前年の23件(約0.5%)から5倍に増加している。
・ 申立人と本人との関係については,前年と比べて大きな変化はないが,市町村長による申立てが約5倍に増加していることが注目される。平成13年度から市町村が行う「成年後見制度利用支援事業」に対する国庫補助(厚生労働省)が開始されたことなどを受け,市町村の制度利用に向けての取組が進みつつあることが背景にあるものと思われる。

(資料4) 成年後見関係事件における申立人と本人の関係別割合

(注)後見開始,保佐開始,補助開始及び任意後見監督人選任事件を対象とした。

(参考)平成12年度

(注)後見開始,保佐開始,補助開始及び任意後見監督人選任事件を対象とした。

5 本人の男女別・年齢別割合について(資料5)

○ 男性では,60歳代と70歳代が同数で最も多く,それぞれ全体の約19%(前年はそれぞれ約21%,約16%)を占めており,次いで50歳代の約19%(前年は約20%)となっている。前年と比較すると,70歳以上の高齢の男性の割合が約32%から約36%に増加している。
○ 女性では,80歳以上が最も多く全体の約42%を占めており,次いで70歳代の約25%となっており,ほぼ前年並みの比率となっている。
○ 本人が65歳以上のものは,男性では全体の約46%(前年は約43%)を,女性では全体の約74%(前年は約73%)を占めている。

(資料5) 成年後見関係事件における本人の男女別・年齢別割合


(注)後見開始,保佐開始,補助開始及び任意後見監督人選任事件の認容で終局したものを対象とした。

(参考)平成12年度


(注)後見開始,保佐開始,補助開始及び任意後見監督人選任事件の認容で終局したものを対象とした。

6 申立ての動機について(資料6)

○ 前年と同様,財産管理処分を主な申立ての動機とするものが最も多く,次いで,身上監護,遺産分割協議となっている。
○ 介護保険契約の締結を主な動機とするものは約2%である。

(資料6) 成年後見関係事件における申立ての動機別割合

(注)後見開始,保佐開始,補助開始及び任意後見監督人選任事件を対象とした。

(参考)平成12年度

(注)後見開始,保佐開始,補助開始及び任意後見監督人選任事件を対象とした。

7 本人の生活状況について(資料7)

○ 本人の生活状況をみると,病院に入院しているものが最も多く全体の約41%(前年は約44%)を占めている。次いで家族との同居が約25%(前年は約27%),老人ホームが約20%(前年は約17%)となっており,ほぼ前年並みの比率となっている。

(資料7) 成年後見関係事件における本人の生活状況別割合

(注)後見開始,保佐開始,補助開始及び任意後見監督人選任事件を対象とした。

(参考)平成12年度

(注)後見開始,保佐開始,補助開始及び任意後見監督人選任事件を対象とした。

8 鑑定について(資料8,9)

○ 鑑定の期間については,1箇月以内のものが最も多く全体の約39%(前年は約44%)を占め,1箇月を超えて2箇月以内のものが全体の約39%(前年は約40%)となっている。
○ 鑑定の費用については,鑑定料が5万円を超えて10万円以下のものが最も多く全体の約63%(前年は約65%)を占め,次いで5万円以下のものが全体の約30%(前年は約25%)となっており,10万円以下で鑑定を行ったものは全体の約93%(前年は約90%)を占めている。
・ 制度導入後1年目に比べて鑑定に期間を要する事案が増える傾向にあるが,約78%の事件の鑑定期間が2箇月以内となっており,鑑定の費用も約93%の事件で10万円以下となるなど,低額化の傾向にある。各家庭裁判所における医師等との連携の取組が行われていること,鑑定書作成のガイドラインの利用が進みつつあることにより,鑑定の円滑な運用が図られているということができよう。

(資料8) 鑑定期間別割合

(注)後見開始,保佐開始,補助開始及び任意後見監督人選任事件のうち,鑑定を実施したものを対象とした。

(資料9) 成年後見関係事件鑑定費用別割合

(注)後見開始,保佐開始,補助開始及び任意後見監督人選任事件のうち,鑑定を実施したものを対象とした。

9 成年後見人等と本人との関係について(資料10)

○ 成年後見人等(成年後見人,保佐人及び補助人)と本人の関係をみると,子,兄弟姉妹,配偶者,親,その他の親族が成年後見人等に選任されたものが全体の約86%を占めているが,前年(約91%)よりやや割合が低下した。
○ 親族以外の第三者が成年後見人等に選任されたものは全体の約14%(前年は約9%)と増加している。その内訳は弁護士が626件(前年は166件)で,対前年比で約3.8倍,司法書士等が395件(前年は117件)で,対前年比で約3.4倍の増加となっている。また,法人が成年後見人に選任されたものは47件(前年は13件)で,対前年比で約3.6倍の増加となっている。
・ 親族以外の第三者が成年後見人等に選任される割合が高まっていることが注目される。親族以外の第三者としては,弁護士,司法書士,社会福祉士,社団法人家庭問題情報センター(FPIC)会員,社会福祉協議会職員,税理士等が選任されている。
・ 法人が成年後見人等に選任された事案も急増しており,選任された法人には,社団法人成年後見センター・リーガルサポート,FPIC,社会福祉協議会,福祉公社などがある。

(資料10) 成年後見人等と本人の関係別割合

(注)後見開始,保佐開始及び補助開始の認容で終局したものを対象とした。

(参考)平成12年度

(注)後見開始,保佐開始及び補助開始の認容で終局したものを対象とした。